この一ヶ月ほどの間に、まったく私的な旅でソウル、上海のデジタルサイネージを見てきた。上海は2年ぶりだが、ソウルについては上海に比べて情報も案外少なく、かつ5年ぶりだったので期待も込めて出かけた。するとその利用のされ方には目を奪われるほどのものがあった。
カンナムという、東京で言うとお台場と表参道と渋谷を足して割ったようなエリアがある。ミョンドンのような旧市街と比較すれば、比較的最近開発が進んだエリアで、IT系企業も多く、最近はサムスンが巨大な新社屋を建設した場所である。こうした先端的な街中に、メディアポールというモニュメントのようなデジタルサイネージが、30メートル間隔で22本も立っている。
メディアポール自体の詳細は、日経の記事に書いるのでそちらを参照願いたい。
日経IT PLUS 江口靖二のテレビの未来
「デジタルサイネージ+インターネット+コンテンツ」の可能性
http://it.nikkei.co.jp/digital/column/functions.aspx?n=MMITel000008062009
実際の操作感はYouTubeの動画を参照いただきたい。
http://www.youtube.com/watch?v=E5r0_Ivf81k
片手で操作しながらの自分撮りなのでご容赦。でもHD!
http://www.youtube.com/watch?v=QImdVxKWQM4
メディアポールを見て思ったことが2つある。デジタルサイネージはインターネットとネットワーク的ではなくメディア的に融合すると言うこと。もう一つはこれらの先例がメディアポールにあり、我々はそこから学び、そこから新たに創り出す必要があると言うことだ。
どういうことか。メディアポールはiPhoneそのものだったのだ。iPhoneはiPodに電話がついた複合機という認識では完璧に見誤ることになる。これはインターネットメディアを持ち運ぶことであり、そのためのテクノロジーと、インターネット上のコンテンツがiPhoneの中で融合している。言い方を変えれば、インターネットを持ち運ぶということだ。ユビキタスという外国語ではなく、持ち運ぶというのが普通の日本人にとっては正しい感覚だ。そしてメディアポールは、まさにiPodを街角に貼り付けたようなものであり、リアルな世界に入り込むインターネットそのものなのだ。この話がわからなければ、iPhoneを購入し、1万円程度の格安チケットでカンナムに出かけられることを強くおすすめする。
デジタルサイネージも、ここへ来て一気に拡大フェーズに入っているが、どうやらキーワードはリアルに入り込むインターネットであることは間違いない。そうなるとハードウエアやシステムには依存しない、ソフトウエアとコンテンツの勝負になってくる。具体的には、今後急速にデジタルサイネージはWEBベースに置き換わり、iPhoneやネットブックやデジタルフォトフレームみたいな機器が一気に主役の座を奪い去り、コンテンツはWEBとシームレスになり一気に市場に普及すると私は考えている。日本がやらなければ韓国が、アメリカが、アップルが、グーグルが必ずやる。
上海はどうだったかというと「デジタルサイネージエキスポ」を見て、街中を徘徊した限りでは着実に普及は進んでいるものの、き新しいものはすでにそこにはない。それはなぜか、インターネットの姿が見えてこないからだ。設置台数や利用という点ではすでに圧倒的なものがあるのだが、もはや日本が学ぶものはそこには皆無だ。幸か不幸か、日本のデジタルサイネージは(2,3)周回遅れの状況だ。この状況下で上海のようなものを目指すのでは、いつまでたっても後追いに過ぎない。
中村理事長、石田事務局長の著書「デジタルサイネージ革命」の第六章の9、「デジタルサイネージ革命の予感」にはこう記されている。
「デジタルサイネージはいつでもどこでもずっとスイッチオンで、大衆と個人の間をつなぐ、同時かつ双方向のメディア。テレビとネットの間に位置する。これで「ユビキタス」が完成する。」
まさにこれをいま、メディアポールで見ることができるのである。
周回遅れの状況からいっきにトップランナーに躍り出よう。そのための指針を見誤ってはならない。


